小説「人獣細工/小林 泰三」を読んでみた

ネタバレなしの小説レビュー

小林泰三さんの小説「人獣細工」を読みました。

小林さんの作品は「記憶破断者」以来、これで2作目なんですが彼のファンになりそうです。

あらすじ。

パッチワーク・ガール。そう。わたしは継ぎはぎ娘。その傷痕の下には私のものではない臓器が埋められている。傷痕を見ていると皮膚が透けて、臓器がゆっくりと蠢動し、じゅくじゅくと液体が染み出してくるのが見えてくる。わたしのものではない臓器。人間のものですらない臓器。…第2回日本ホラー小説大賞短編賞をあの名作「玩具修理者」で受賞した著者が、内臓の匂い漂う絶望と恐怖の世界を構築した表題作に、二編を加えた待望の第二作品集。

あらすじでわかる通り、「人獣細工」は短編の物語が3つで構成されています。

1話目が表紙タイトルにある「人獣細工」。

2話目が「吸血鬼狩り」。

3話目が「本」。

私は「本」、「吸血鬼狩り」、「人獣細工」の順で好みでした。

「本」は本当に面白いです。(駄洒落じゃありません)

ネタバレしないように説明するのは難しいのですが、「呪いの拡散」系の話って難しいと思うんです。

どうしても、「リング」や「着信アリ」に似てしまう部分ができてきてしまうため、著者にその気はなくても読んだ人間には二番煎じに思えてしまうんですね。

その点この「本」という話は、全く新鮮な「呪いの拡散」系の話で、私のページをめくる手がどんどん加速してしまいました。

「吸血鬼狩り」も、自分が少年だったころを思い出し、感情移入しまくれました。笑

たぶん男性向きの話のように思います。

少年の心を上手に描いているので、女性には感情移入しにくいかもしれません。

また、二通りの解釈ができるオチだったので、白黒はっきりさせたい方には向かない可能性がありますが、私は充分に楽しめました。

そして、表紙タイトルの「人獣細工」は私好みではありませんでした。

これを読んだ人の中で肯定的な感想を言わない人の多くは、「胸糞悪い話だから」ではないかなと思います。

ただ私の場合、胸糞云々ではなく単純にストーリーに入り込めなかったんです。

主役が女性であることと、主役の女性の境遇が特殊過ぎて感情移入しにくかったからではないかなと、自分では解釈しています。

ですが、「命」や「倫理観」については考えましたね。

考えさせられるという意味では、この話が一番だったかもしれません。

ただ、残りの2話が面白すぎたので私の中ではかすんでしまいました。

いやー、面白かった。

近いうちに、小林さんの他の作品も読みたいと思います。


人獣細工【電子書籍】[ 小林 泰三 ]