小説「幽霊詐欺師ミチヲ/黒 史郎」を読んでみた

ネタバレなしの小説レビュー

黒史郎さんの「幽霊詐欺師ミチヲ」を読みました。

あらすじ。

借金を苦に自殺しようとしていたところ、カタリという謎の男に声をかけられた青年ミチヲ。聞けばある仕事を引き受ければ、借金を肩代わりしてくれるという。喜ぶミチヲだったが…

非常に楽しめました。

相変わらずの黒史郎作品でして、安定感があります。

読者の期待を裏切らない方です。

「幽霊詐欺師」のタイトルからも分かる通り、完全にオカルトモノでして、ホラー要素は高めですが恐怖度は低めです。

グロテスクと言いますか、スプラッター的な表現は多めです。

血がたくさん出たり、生々しい表現は多いんですね。

でも、ほとんど怖くないんです。

おそらく、わざと怖くしていないんだと思います。

その証拠に、むしろクスッと笑える部分が多いんです。

私は不覚にも大笑いしてしまった部分もありました。

黒史郎さん、この小説では恐怖ではなく笑いをとりにきています。笑

そのせいか、ジャンル的にはホラーなのに読後感も決して悪くありません。

むしろ、読み終わった後の気分は良いくらいです。

普段ホラーを読まない人の、ホラー入門としてこんなにうってつけの作品はないのではないでしょうか。

「オカルトモノ読みたいんだけど、怖いのは嫌なんだよなー」と思っていた方、「幽霊詐欺師ミチヲ」を読むべきだと思います。

怖さではなく笑いの方が強めですし、内容は間違いなく楽しめると思います。

また、登場人物も多くないので読んでいて疲れません。(私の中でここは非常に重要)

良い意味で、漫画のような感覚でサクサク読めます。

活字慣れしていない方にもぴったりです。

そして、何が凄いって、これだけ「気楽に読める」感じなのに、黒史郎さんの文体からは知的さも感じられるんですね。

それは「カタリ」というキャラクターが出てくるからとというのもあると思うのですが、このカタリが一癖も二癖もある奴でして。

非常に頭がよく、嫌な奴なんです。笑

これ以上喋ってしまうとネタバレになりますんで、興味のある方はお読みいただければと思います。

ホラー好きも、そうでない方も、活字慣れしていない方も楽しめるはずです。


幽霊詐欺師ミチヲ (角川ホラー文庫) [ 黒史郎 ]