黒史郎さんの「貞子VS伽椰子」を読みました。
あらすじ。
ホラー映画の主演を依頼された劇団員の恵子。しかし、監督が不審死、恵子は居合わせたフリーライター・小堺と共に、現場にあった「呪いのビデオ」を観てしまう。2人は貞子に呪い殺される前に、入れば伽椰子に捕まり二度と戻れなくなるという「呑む家」への侵入を決意。呪いの相殺を狙い、その顛末を映像に記録することに。撮影班が次々と姿を消していく中、ついに貞子と伽椰子が姿を現わし…。ホラーの歴史を変える最恐対決!
正直なところ、全く期待せずに読みました。
「○○ VS ××」みたいな映画はけっこうありますが、私の中でそれらの8割以上はハズレなんで、これも期待していませんでした。
ところが、どっこい。
読み始めてみると、「あれ?ちょっと面白いぞ?」→「いや、ちょっとじゃなく結構面白いぞ!」と心の声が変化していき、最後までページをめくる手が止まることなく楽しんでしまいました。
食わず嫌いって良くないですね。笑
さすが黒史郎さんが書いただけのことはあり、文章が上手く、ホラーの基本を抑えて書いてくれているんです。
ですので、もう誰もが知っている「貞子」だったり「伽椰子」が、未だに怖く思えるんです。
怖さというのは、未知とセットにしないとあまり活きないんですよね。
人は、自分がすでに知っているものはたいして怖くないんです。
これは自動車が良い例ではないでしょか。
車に轢かれたら死んでしまう可能性が充分にあるはずなのに、多くの人はビビらずに車が走っている真横を通過します。
これは自動車をよく知っているために、怖さが薄れてしまっているんじゃないかと思われます。
そういう意味で、もう充分に知ってしまっている「貞子」や「伽椰子」で怖がらせるのって、至難の業じゃないかと思うんです。
でもこの本は、ちゃんと怖がらせてくれますよ。
まあやはり、既知である以上恐怖度はあまり高くありませんが、「貞子」や「伽椰子」の味を壊すことなく、ホラーな世界観へ引き込んでくれます。
ただし、注意点として。
これは期待値を高めて読む小説じゃないと思います。
あくまでも、「B級グルメ」を食べるような感覚で読むものじゃないかな、と思います。
そしたら、きっと「美味しい」はずですよ。
ちなみに私、「貞子VS伽椰子」の映画は観てないんです。
いろいろとツッコミを受けそうですが、映画はどうにも観る気がしませんで。
映像は過去の作品で充分に楽しんだ感があるんで、もういいかな、と。笑(ただこれも、食わず嫌いな可能性がおおいにありますが)
どうやら、映画と小説はストーリーが違うそうです。
そういう意味で、映画を観た方でも全く違うストーリーを楽しめるみたいです。
とりあえず今の私としては、小説バージョンはお勧めできます。(この先映画を観て心が動くことがあれば、映画も勧めるかもしれません)