澤村伊智さんの「ずうのめ人形」を読みました。
あらすじ。
不審死を遂げたライターが遺した原稿。オカルト雑誌で働く藤間は、作中に登場する「ずうのめ人形」という都市伝説に惹かれていく。読み進めるごとに現実に現れる喪服の人形。迫り来る怪異を防ぐため、藤間は先輩である野崎に助けを求めるが―はたしてこの物語は「ホンモノ」か。
「ぼぎわんが、来る」でホラー大賞を受賞した澤村さん。
この「ずうのめ人形」は待望の2作目だったのですが、おそらく相当書くのが大変だったんじゃないかなと思われます。
大賞を受賞した後で書く1発目ですからね、精神的に相当ハードだったんじゃないかな、と。
そんな凄まじいプレッシャーが予想される中、これほど素晴らしいホラー作品がよく書けたな、と驚いております。
率直に言って、めちゃくちゃ面白かったです。
もしかすると、近年読んだホラー小説の中で一番面白かったかもしれません。
ホント、澤村さんにファンレター書きたくなりましたよ。(書きませんけどね。笑)
主人公が呪われてしまう話なんですが、読んでいるともう自分に呪いがかかったような気分になりましたし、必死で生き残る方法まで考えてしまいました。
それくらい感情移入してしまったんですね。
こんなにハラハラしたホラー小説は「リング」以来かもしれません。
おそらく、澤村さんもこの作品は「リング」を意識して書かれたんじゃないかなと見受けます。
実際に、この小説の中でも「リング」の話がちょびっとでてきますし。
あえてタイトルはあげませんが、邦画のホラーで「これ、リングのパクリでしょ?」と思われる作品がいくつかあることを私は知っています。
「ずうのめ人形」は良い意味で「リング」を意識してはいると思いますが、悪い意味でのパクリなどではなく、完全オリジナルの物語です。
私はずっと、こんなホラーを待ってましたよ。
リング並みの興奮と恐怖が味わえて、まったく新しいストーリーのものを。
いやー、「ずうのめ人形」を読んで、ますます今後の澤村さんに期待してしまいます。
ホント、ホラー界期待の星だなって感じます。
ここでガラッと話を変えて、少しだけ映画の話をします。
日本人のほとんど誰もが知っているホラー映画(邦画)って、最後の作品はなんでしょう?
リングでしょうか?
呪怨でしょうか?
着信ありでしょうか?(着信アリを日本人のほとんど全員が知っているとは思えませんが、有名作品には違いありませんので)
おそらく着信あり以降の有名作品って、もう出ていないのではないでしょうか?
面白いホラーの邦画って意味ではありませんよ。
誰もが知っているくらい有名な作品って意味です。
有名作品が出なくなったのは、時代がネットからテレビへ移行したことも影響はしているかもしれません。
価値観の多様化というやつですね。
価値観の多様化ももちろんあるとは思いますが、良質ホラー作品が少なかったことも理由の1つではないでしょうか。(数は少ないかもしれませんが、良質ホラーの邦画はあります。有名作品ではありませんが)
もしも今後「ずうのめ人形」が映画化されることになり、監督が映像で恐怖を煽るのが上手な人であったとしたら、着信アリ以来のメジャーホラー作品になるかもしれません。
私は読後にそんなことを期待してしまいました。(メジャーになってしまったら、それはそれで少し寂しいですが。笑)
あなたがもし本当に面白いホラー作品を読みたいなら、迷わず「ずうのめ人形」を手に入れることをお勧めします。