小説「熱帯夜/曽根 圭介」を読んでみた

ネタバレなしの小説レビュー

曽根 圭介さんの小説「熱帯夜」を読みました。

あらすじ。

猛署日が続く8月の夜、ボクたちは凶悪なヤクザ2人に監禁されている。友人の藤堂は、妻の美鈴とボクを人質にして金策に走った。2時間後のタイムリミットまでに藤堂は戻ってくるのか?ボクは愛する美鈴を守れるのか!?スリリングな展開、そして全読者の予想を覆す衝撃のラスト。新鋭の才気がほとばしる、ミステリとホラーが融合した奇跡の傑作。日本推理作家協会賞短編部門を受賞した表題作を含む3篇を収録。

あらためて「曽根さん好きだなー」と感じました。

この歪み方最高です。

この小説は短編集で「熱帯夜」、「あげくの果て」、「最後の言い訳」の3話入っています。

表題にもなっている「熱帯夜」は曽根さんらしい作品と言いますか、ハードボイルドな内容で私は結構好きでした。

2話目の「あげくの果て」は高齢者社会の話でして、私はこれはあまり好きではなかったですね。

つまらなくはないのですが、現在30代の私が高齢者の話を読んでもピンとこないと言いますか、共感しにくいと言いますか。

ラストの「最後の言い訳」、これがもう最高でした。

この話だけでも、この小説を買う価値が充分にあるように思います。

「最後の言い訳」だけは、長編で読みたいくらいでした。

短編で読むのはもったいないです。

なぜ短編にしたのでしょう?

この話を上手に引き延ばして、上下巻作ってもいいくらいです。笑

もしも誰かに「どんな話?」と聞かれたら、簡単に言えば「黒いホラー」とでも答えましょうか。

ただ、もろにホラーって感じでもないんですよ。

どちらかというとホラーかな?くらいなんです。

ですので、怖いのは期待しない方が良さげです。

大まかに言えばゾンビモノなんですが、普通のゾンビ話とは大きく違います。

曽根さんらしく社会を風刺しており、この先の人類が本当に直面してもおかしくなさそうな食品偽装問題を描いています。

食品偽装で人類が滅亡なんて言ったら笑われるかもしれませんが、これを読むと本当に人類の最後としてあり得そうだから怖いんですよ。

そして、曽根さんは人物の葛藤を描くのが本当に上手いんです。

読んでいると、少年の頃の淡い恋心を思い出すことができると思います。

ですので、どちらかというと男性が読んだ方が楽しめる要素は強いかもしれません。

主人公が男の子なので、共感しやすいという意味でです。

もちろん、女性が読んでも楽しめると思いますが。

1つ言えるのは、いろんな角度から「心」を刺激してくれる内容です。

今私は「内容について書いてしまいたい」という欲求と戦っております。

でも、このブログではネタバレしない約束ですから我慢ですね。

ぜひ、読んだ方が良いですよ。

おそらく100人中96人くらいは、読んでも後悔しないはずです。(曽根作品には癖がありますので、100人中4人くらいは後悔してしまうかもしれませんが。笑)

胸を張ってお勧めます。


熱帯夜 (角川ホラー文庫) [ 曽根圭介 ]