小説「クララ殺し/小林泰三」を読んでみた

ネタバレなしの小説レビュー

小林泰三さんの小説「クララ殺し」を読みました。

あらすじ。

大学院生・井森はある夜、緑豊かな牧草地の世界に迷い込む。夢の中では間抜けな蜥蜴・ビルになってしまう井森は、そこで車椅子の美少女・クララと「おじいさん」と呼ばれる男に遭遇する。翌朝大学に向かった井森は車椅子の少女・露天くららに出会う。彼女は何者かに脅されているため、大学教授のおじ・ドロッセルマイヤー教授に助けを求めてやって来たという。彼女のために脅迫犯捜しに乗り出した井森だが……『アリス殺し』の姉妹編登場!

これは「アリス殺し」の続編ですね。

ほとんど同じ同じ世界観なので、アリス殺しを読んでいないと意味が分かりにくい可能性があります。

主人公は、アリス殺しでも大活躍したトカゲのビルくん(人間名は井森健)ですので、やはり前作を読んでいた方が楽しめるように思います。

で。

私の正直な感想を言いますと、期待していたよりは面白くなかったかな、と。

いや、面白かったんですよ。

でも期待値は越えてこなかったかな、と。笑

私が少しだけ気になった点が2つあります。

1つ、登場人物が多すぎること。

前作の「アリス殺し」も登場人物が多かったものの、大半が名前くらいは聞いたことがあるキャラクターだったので、苦じゃなかったんです。

前作は不思議の国のアリスの世界のキャラクターばかりなので、頭の中で容易にイメージできました。

登場人物が多くても、嫌になりにくかったのだと思います。

一方で今回読んだ「クララ殺し」は名前の長い登場人物が多く、しかも私が初めて知るようなキャラクターだったので読んでいて疲れてしまうんですね。

これは小説あるあるではないでしょうか。

「登場人物が多いと、読者が離れやすい」

きっと、読んでいて疲れちゃうんですよね。

2つ目。

先の展開が読みやすかったこと。

非常に練られていて面白い小説だと思います。

ただ、私には前作でのオチを複雑にしただけのように思えました。

前作を読んでいると、ある程度先読みできてしまい、読後の衝撃や感動が少なかったんです。

そこが残念だったかな、と。

これで登場人物がもっと少なければ、それでも文句はなかったのですが、(登場人物の多さで)無駄に私の中のエネルギーを使ってしまった分、最後にもっと大きな驚きが欲しかったと思えました。

今回の話は推理モノですので、容疑者を増やすために登場人物を増やしたくなる気持ちもわかるんですねどね。

私は小林さんの小説を読むのはこれで4作目ですが、「記憶破断者」や「人獣細工」があまりに傑作だっただけに、私の中のハードルが上がってしまっていた可能性もおおいにあります。

前作のアリス殺しが好きな方は、クララ殺しも読んでみると良いかもしれません。

この作風は、好き嫌いが分かれるように思います。

クララ殺しを読んでみたいと思っている方は、まずはアリス殺しから読んでみてはいかがでしょう?


クララ殺し (創元クライム・クラブ) [ 小林泰三 ]