小説「ししりばの家/澤村伊智」を読んでみた

ネタバレなしの小説レビュー

澤村伊智さんの小説「ししりばの家」を読みました。

あらすじ。

夫の転勤に伴う東京生活に馴染めずにいた笹倉果歩は、ある日幼馴染の平岩敏明と再会する。彼の家に招かれ平岩の妻や祖母と交流をしていく中で果歩の心は癒されていくが、平岩家にはおかしなことがあった。さあああという不快な音、部屋に散る不気味な砂。怪異の存在を訴える果歩に対して、平岩は異常はないと断言する。一方、平岩家を監視する一人の男。彼はこの家に関わったせいで、砂が「ザリザリ」といいながら脳を侵蝕する感覚に悩まされていた。果たして本当に、平岩家に怪異は存在するのか―。『ぼぎわんが、来る』『ずうのめ人形』に続く、ノンストップ・ホラー!

結論から言いますと、とても楽しかったです。

文章は無駄がないので読みやすく、すぐに世界観に入り込めました。

世界観に入り込めた理由は、文章が上手いだけではなく、前半で心を掴んでくれたことと、登場人物が適度な人数だったことも挙げられます。

おそらく多くの方が経験したことがあるのではないでしょうか。

小説の登場人物が多すぎて、読んでいてうんざりしてきたことが。

物語に必要な人物なら登場させるのも良いのですが、あまり重要ではない人物が増えれば増えるほど、読者は離れていくように思います。

その点、この「ししりばの家」は無駄な人物が出てこないので、どんどんストーリーに入り込めるんです。

いつの間にか、さも自分に怪奇現象が起きているような気分にさせてもらえます。

オカルトの疑似体験とでも言いましょうか。

私は本を読み終わるとホッとできました。

「ああ、これは私の身に起きているわけじゃないんだ。」と安心できたのかもしれません。笑

それだけ世界観に引き込まれていたのでしょう。

ただ一点だけ。

この小説はもしかすると、女性が読んだらまた違う印象を持つかもしれないな、と思いました。

私は男なので、登場人物の女性になりきって読むことはありません。

でも、おそらく女性は女性キャラクターになりきって読むのではないかな、と。

そう考えると、この小説は女性からすると後味が良くないかもしれません。

ネタバレするので詳しくは言えませんが、読んだことがある方なら理解していただけるのではないでしょうか。

ホラーの読み物として、非常にクオリティーが高いと思いますが、読む人は選ぶ可能性はあるかもしれません。

あなたがもしもホラー好きの男性なら、一度は目を通す価値があるんじゃないかなと思います。

澤村伊智さんは、ホラー界期待の新人と呼ばれているそうですが、その名にふさわしい方だと思います。

私はこの先も、新作は必ずチェックしていこうと思えました。


ししりばの家 [ 澤村伊智 ]