小説「記憶破断者/小林泰三」を読んでみたぞ

ネタバレなしの小説レビュー

小林泰三さんの「記憶破断者」を読んでみました。

結論から言うと、非常に楽しい作品でした。

わたくし、小林泰三さんの作品は初めて読んだのですが、彼の他の作品にも俄然興味が湧いてきました(笑)

ちなみに、私の作品レビューには基本的にネタバレはありません。

というのも、私自身がネタバレを好まないんです。

小説に限らず映画でも漫画でも、すべての作品は予備知識0の状態で観たいんです。

だって、予備知識がない方が絶対に作品を楽しめますもの。

ですので、他人に勧めるときも基本的にネタバレしません。

ということで、ネタバレしない程度に「記憶破断者」の感想を書いていきますね。

あらすじ。

頼りになるのは、ノートだけ。記憶がもたない男は、記憶を書き換える殺人鬼に勝てるのか?見覚えのない部屋で目覚めた二吉。目の前には一冊のノート。そこに記されていたのは、自分が前向性健忘症であることと「今、自分は殺人鬼と戦っている」ということだった。殺人鬼は、人に触れることで記憶を改竄する能力を持っていた。周囲は誰も気がつかない中、その能力に気がついた二吉に、殺人鬼の脅威が迫り来る。絶対絶命の中、記憶がもたない二吉は、いったいどういう方法で、殺人鬼を追いつめるのか?二人の勝負の行方は?

とまあ、記憶が長時間持たない男の話なんですが、実に面白い。

先が読みたくて、なかなか風呂に入れませんでしたよ。笑

風呂に入るのを先延ばしにしてしまうくらい、私の心は鷲掴みにされてしまったわけです。

面白いだけでなく、この作品はいろいろ考えさせられるんですよ。

私はこの本を読んでいて、「世界五分前仮説」を思い出しました。

「実は世界は5分前に始まったんじゃない?で、我々の記憶は全部後から植え付けられたんじゃない?」というやつですね。

バートランド・ラッセルが提唱した過去をすべて否定するような仮説です。

作品の主人公である「二吉」は、一人で5分前仮説の中にいるような感覚なのでしょう。

なにせ、1時間に1回は「お、俺はここで何をしてるんだ?」となってしまうんですから。

もしも自分が「二吉」と同じだったらと考えると、それだけで失禁レベルに恐ろしいです。笑

おそらく、「記憶破断者」はかなりの取材をされて書かれているのだと思います。

と言いますのも、記憶に限らず脳のいい加減さというのは、心や脳の学問ではもはや常識のレベル。

その「いい加減」な部分を上手に作品に活かしているわけです。

これ以上書くとネタバレしそうなので、そろそろ締めましょう。

記憶が長時間続かない主人公の作品は「メメント(映画)」「ガチ☆ボーイ(映画)」などありますが、私は今回読んだ「記憶破断者」が一番楽しめました。

世界観の違う作品を比べることがナンセンスなのかもしれませんが、主人公の記憶が続かない系の話を他人に勧めるとしたら、私はこの作品の名前を挙げますね。

あなたがもしも、次のページが気になるようなサスペンス小説が読みたければ、「記憶破断者」はおすすめできます。


記憶破断者 [ 小林泰三 ]